ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
「ちょっと待って下さい、1回着てみるので部屋に入って待っていて貰えませんか?またお呼びするのは申し訳ないので」

気づいたらそんなことを口走っていた。

ここでまた逃す訳には行かない。

「わざわざお気遣いありがとうございます。では、こちらで待っておりますのでご確認お願い致します」

いや、どうにかして彼女と話す機会が欲しい。

ここで待たれてはダメだ。

「いやいや、中で座って待っていて下さい。お着物着てらっしゃいますし、立ちっぱなしも大変じゃないですか」

もちろん、大変そうだからというのはあったけど、彼女を引き止めたい一心で無理やり誘う。

こんな変な客は居ないだろうけど、昼間みたいに逃すわけにはいかない。

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて少しお邪魔させていただきます」

よかった、とりあえず話が出来る。

前を歩きながら、後ろにいる彼女の気配を感じて心臓が暴れる。

いい歳して誰かにときめくなんて何年ぶりだろうか。

結局は、また彼女にときめいている。

「すぐ着替えてくるので、ちょっとだけ待っててください」

一旦着替えてこないと何も始まらないから、彼女に座布団を差し出す。

「分かりました、ゆっくり着替えてくださって構いません」

そう言って彼女は俺に背を向けて座る。
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