ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
「完成したら藤の間からお出しして。東堂様、30分くらい前に戻ってきてらっしゃったから丁度いい頃だと思うわ」

「分かった、もうできるから支度するね」

東堂様は、年に2、3回ほどうちに来てくれるご夫婦。前回は息子さん家族と一緒にいらっしゃってくれていた。


既に温めていた鍋を器に盛り付け、コンロと固形燃料を取り出す。

前菜などを持った洋子さんと一緒に藤の間へ向かう。1階の突き当たりの部屋だ。

扉をノックしてから声を掛ける。

「失礼します、本日のご夕食を持って参りました」

「あら、さくらさんじゃないの。美味しそうな匂いね!」

ドアから顔を出した奥様に続いて部屋に入る。

「今日も美味しそうだな。女将さんの料理は本当に絶品だよ」

「毎度ご贔屓にして頂きありがとうございます。本日は鯛のお鍋でございます。温かいうちにお召し上がりください」

洋子さんと手分けして机の上にセッティングしていく。

「そういえば、悠くんは元気にしているかい?またうちの孫とも遊んでやって欲しいよ」

「相変わらず元気すぎるくらいですよ。こちらこそ遊んで頂いちゃって…。私もまた凜々ちゃんに会いたいです」

前回いらっしゃった時、旅館の共有スペースで遊んでいた悠真と、息子さんご夫婦の娘さんが仲良くなって一緒に遊んでもらっていた。
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