ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
「お待たせしました、アズールになります」

そういってマスターが出してくれたのは、青紫色に光り輝くカクテルだった。

お酒なのにとても神秘的で、美しかった。

「これ、すごい綺麗じゃないですか?大分アルコールは強めなんですけど、僕これが好きでよく来るんです」

「すごく綺麗です…、初めて見ましたこんな素敵なカクテル」

「気に入ってもらえて良かったです。もし全部飲めそうじゃなかったら無理はしないでください」

ゆらゆらと青く輝くカクテルに吸い寄せられてグラスに口を付ける。

爽やかな色とは反対に、甘くて、でも辛くて。
不思議なカクテルだった。

アルコールは強いはずだけど、ジュースみたいに飲んでしまい、あっという間にグラスは空になった。

「どうですか?結構アルコール強いんだけど、飲めちゃいますよね」

「はい、初めて飲んだんですけど美味しかったです」

「気に入ってもらえて良かったです。また来ましょう」

また……?次があるのかしら。
専務だってきっと忙しいわよね。

専務と色々話しているうちに、頭がふわふわしてくる。
アルコールが回ってきちゃったのかしら。

今ここに布団があれば、すぐ寝られるのに…

「さくらさん…?大丈夫?歩けそう?」

「ふぁい…だいじょーぶです」

瞼が重くなって来るのと、必死に戦う。

「さくらさん、最寄り駅は…」

専務の声がだんだん遠のく。

アルコールのせいか、隣に専務がいるからなのか。

幸せな気持ちで目を瞑る。

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