ままになったら極上御曹司に捕まりました?!

とりあえず今日中にできるのはこの辺までね。

帰り支度を始めるが、前回休憩室の整理をしてから、最近はバタバタしててあまり手をつけていなかったことをおもいだす。

もう時間は遅いけど…明日に回すより今日やった方がいいや。

休憩室は年末年始が近いせいか、あまり備品の減りはなかった。

最後に仮眠室の確認に回る。遅い時間だから誰も使ってないかと思っていたが、誰かが使用しているようだった。

一応ベッドはカーテンで仕切られているので、音を立てないように静かに入る。

いつもシーツなどがまとめて置いてあるキャビネットの前に立ち、使用済みの物をしまう。

後ろでがたっと音がした。

起こしちゃったかしら。

すみません…と心の中で謝り、棚を整理していく。


ぎゅっ


突然シトラス系の優しい香りに包まれた。

あまりに咄嗟のことで、なにが起きたのか分からなかった。

「やっと捕まえた…花宮さくらさん」

えっ…?

「なんでこないだは何も言わないで勝手に帰ったの?上司に対して…いや、一晩の相手に対して失礼じゃないか?」

そんなことを言われて思い当たるのは一人しかいない。

「……専務…ですか?」

「その言い方は、他にも誰か思い当たる人がいるということか?まさか、俺以外にも相手がいたとは。意外だったな」

「い、いえ…それは違いますけど…。あの…、離してください」

目の前にはキャビネット、後ろには専務、と板挟みにされ身動きも取れない。

専務の腕の中から離れようと力をいれるがビクともしない。
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