ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
確か悠真より2歳年上で、とても可愛らしい女の子だった。

「では、支度が終わりましたので失礼致します。ごゆっくりお楽しみください」

全てのセッティングを終え、部屋を出る。

「いつ見ても素敵なご夫婦よね…。私もあんな風になりたいわ…」

「洋子さんだって素敵な旦那様がいるじゃないですか」

「私たちはあんなふうになれる気がしないわ…」

はあっとため息をつく洋子さん。

彼女の旦那さんとは2回くらいしかあったことは無いけどお似合いの夫婦だったし、私からしてみれば好きな人と一緒になれて羨ましい限り………いけない。


そういう感情は忘れて生きていくと決めたのに。

ふとした瞬間、夫がいるのはどんな感じなんだろうと羨ましく思うときがある。

好きな人と一生を添い遂げられる、それほど素晴らしいものはない。


でも私は悠真の母親として、しっかりしなくちゃ。

あの子の親は私しかいないんだから。


𑁍‬


一通り仕事を終え、4人で食卓を囲む。

「ままー、ぼくね、さっきじーじとおえかきしたんだ」

「本当に?何を描いたの?」

「んっとー、まずキリンさんでしょー、あと、うさぎさんもかいた!」

「悠くんすごいね!あとでままにも見せてね」

「悠くんの絵飾らないと!今度おばあちゃんの絵も描いて頂戴ね」

「うん!みんなでかこうね!」

どうやら4人で絵を描くことになっているが、それはそれで楽しそうだ。

「あ、悠くんにんじん食べれるかな?」

いつもは嫌がって食べないけど、自分から食べたと言ってくるくらいだから食べてくれるかな?

「そうだ、悠真今日食べられたんだもんな」

私と父から期待を込められて悠真はドヤ顔で食べ始める。

「ぼく、おとなだもん!」

「あら悠くんすごいわね。おいしい?」

母にも褒められうんっと頷く得意げな悠真。

いつの間にか我が家は悠真中心の生活になり、
父と母には少し申し訳ない気持ちもあった。

でも父と母を始め、従業員や、お客様にも愛されて育つ悠真を見て、あの時産むと決めた自分の決心は間違っていなかったと何度も感じる。


❁⃘


そんな賑やかな食事の後、はしゃいで疲れたのか、眠たがる悠真を急いでお風呂に入れる。

「ほら、悠くん今日はトラレンジャーのパジャマだよ。歯磨きして早く寝ようね。」

眠くてぐずる悠真を何とか準備させ、布団に入る。

布団に入った途端すぐに眠った悠真の横顔を眺める。

それだけで疲れも吹き飛ぶのだから子供は本当にすごい。
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