アクセサリーは婚約指輪だけ

母親

１惠美里のお母さんーSide伊吹

惠美里のお母さんは、なかなかのパワフルな人らしい。

住むところを探すために春休みに京都に来た時も、一緒には来て物件探しや手続きなどまわってくれたが、次の日は学校関係の手続きだったので、学校が予約した近くのホテルに惠美里とは一緒に泊まらなかったそうだ。その日のうちに神戸に移動して友達と会ったり、観光をしたらしい。で、次の日に京都駅で待ち合わせて東京へ一緒に帰ったと。1人でも平気だし、楽しめる人、うちの母親とも似てるかも。

結局、「いつ緊急事態宣言がまた出るか分からないし、お父さん出張になってタイミング良くなったから行くわ」って言って、7月入ってすぐから期末テストまでの間5日間いらっしゃるそうだ。車を使うこともあるかもだろうから、保険も7月から使えるように限定特約を外した。

6月最後の日曜は、午前中は朝のランニングから買い物をして、有名ラーメン店の本店に並んで食べて、午後からは仕事をした。夜は俺が牛丼を作った。

「美味しそう〜いただきます」

「いただきます」

「美味しい、生姜がいい感じ。

ねぇ、伊吹くんって今までの
彼女さんの家族に
会ったことある？」

「え？そんなこと聞いて
どうするの？」

「いや、どうもしないけれど、
世の中の人って
どうしてるのかな？
って思っただけ。

まだ付き合って間もないし、
母に会わなくても良いよね？」