イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
「先輩、いい子いい子です」
小さい子を褒める時みたいに、おれの頭に手を伸ばして撫でる。
優乃だから、許す。
かわいいから許す。
少し頭を下げて優乃が撫でやすいようにするおれは、やっぱり重症だ。
「では、放課後に。あと少し、がんばりましょうね」
優乃の声に頷く。
それを確認すると微笑んで、おれに手を振って歩きだした。
あと30分もない。
こんな時間に戻るとか絶対にしねぇよ。
まずサボると決めて戻ること自体しない。
けど、優乃に言われたし、頭も撫でられたし……。
自然と足取りは軽く、さっき抜けた教室に戻っていた。
「え、要?」
ドアを開けた瞬間におれに集まる視線。
七海が驚いたように一瞬目を見開いたのがわかった。
いいな、その顔は。
「伊月くん!?戻ってきてくれたのね」
女教師が瞳を揺らしながら、黒板から一歩おれに向かって踏み出す。