イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
癒されるってこういうことだよな。
いままで感じたことのない気持ちに、おれらしくないと思いつつも嫌な気はしない。
「いいんだよ。優乃はもっと甘えてくれたら」
「もう十分すぎるほど甘えさせてもらってます」
おれは十分、甘やかせてないんだけど。
もっと優乃を甘やかしたい。
もっと笑顔にしてやりたい。
こんだけじゃ足りないだろ。
「では、行きましょうか。わたしのオススメのところです」
「うん。車は校門前に待たせてあるから」
「車……?」
「おれの送迎の車。乗ってくだろ?」
「え、あ、伊月先輩は車登校なんですね。あ、そっか。御曹司だからですか?住む世界が違うってこういうことだったんですね」
「は?なにそれ?」
「友達が言ってたんです。伊月先輩は住む世界が違う人だって。同じ世界にいるのに不思議ですよね。でも、車登校ってたしかに漫画とかドラマでしか見たことなかったので……」
「歩くわ」
「え?」
優乃が驚いたような声を上げる。
そんな声すらもかわいいな。と思いながら、おれは決めた。
車登校はやめる。
優乃に住む世界が違うって思われたくない。