君が生きていれば、それだけで良かった。
「はい!」
彼は勉強机に並べていた教科書やノートをせっせとリュックに入れていた。ぼさぼさの髪で、スラックスをギリギリまで上に上げた格好をしている。
私は学校に行く機会が少なかったけれど、それでも同い年のクラスメイトを見たことがないわけじゃない。男子たちは少なからずワックスで髪を整えていたし、仮に同じクラスに彼がいたら、浮いていたんじゃないかと思う。
ただでさえ私を推しているのだ。
いじめられないか、不安だ。
「私も行っていい?」
「え……」
縁川天晴は、戸惑いを見せた。彼についてまだ全然知らないけれど、「推しが学校に!?」くらいは言いそうな気がする。
拒否を示しているということは、なにかあるんだろう。