彼女の居場所外伝 ~たんたんタヌキ~
初めて入った史也さんの部屋はーーなんというか超シンプルだった。
ムダがないというよりは不要なものを置くのが嫌なのかもしれない。
「座って」
史也さんに示されたとおり広いリビングに置かれたレザーのソファーに座る。
「ちょっと待ってて」
キッチンに向かった史也さんは冷蔵庫からミネラルウォーターを二本取り出すと、一本を私の前に置いた。
「コーヒーを淹れたいところだけど、生憎ここにはこんなものしかないんだ。ただの水で悪いけど、よかったらどうぞ」
史也さんはもう一本のキャップを開けるとごくごくと飲み始めた。
半分ほど飲んだところでふうっと息を吐き、斜め横の一人掛けソファーに座る。
そんな様子をただ黙ってみているしかなかった。
居心地が悪い・・・。
「何をどう言ったらいいのかわからないけど・・・薫さん、一つはっきりさせておきたい。君、先週の月曜日の20時頃副社長室に行った?」
先週の月曜日と言えば、あの康ちゃんに慰めてもらった日だ。
「行きましたけど」
「ふうん。やっぱりか。で、そこで何があったの」
「何が・・・ってちょっと愚痴って慰めてもらって・・・」
史也さんが持っていたミネラルウォーターのボトルをトンっとテーブルに置いた。
「それはわざわざ会社でするべきことだったのかい?」
「え・・・でも最近電話してもなかなか出てくれないし、久保山の家にもあまり顔出ししてくれないし、ゆっくり話するチャンスもなくて」
史也さんの眉間にしわが寄り怒りを我慢しているような表情に変わった。
「常々思っていたことだけどね、薫さんの久保山家に対する依存心、強すぎるんじゃないか。キミがまだ未成年だとか学生ならわかるところもある。だが、もう27歳だろう。子供じゃないどころか、成人してから何年経っていると」
「でもさみしいんだもの。話を聞いてもらうのはいいでしょう」
なにか間違ってるだろうか。
家族だったら友人と違ってどんな話を聞いてもらったっていいじゃない。
「弁えるとか、自立する、そんな常識的なことが久保山家と薫さんにはできないんだってことだと理解していいんだね」
「・・・私たちが非常識だって言いたいんですか」
今まで言われたことのないストレートな批判に衝撃と怒りで手が震える。
いくらなんでもこんな言い方ひどすぎる。
「薫さんの幼い頃の話は聞いている。かわいそうだと思うし、近くに親身になって面倒を見てくれる伯母家族がいたのはよかったと思う。でも、キミはその状況にいつまでしがみついているんだい。俺にはキミが伯母一家の足を引っ張ってるようにしか見えないんだが」
「ひどい、そんな言い方・・・」
史也さんとはもう目を合わせられない。
こんな酷いことを言われて怒りで目の奥がチカチカする。
「そう、酷いかもしれないね。今まで自立を促さなかった康史さんや久保山の会長夫婦に責任がある。でも甘えるだけ甘えて周りが見えなくなっていた薫さんの目を覚ましてもらうにはこのくらい言わなくてはいけないんじゃないかなと思うんだ」
「・・・」
「少なくとも、健斗社長は苦言を呈していなかったかい」
「そんなことーー」
「なかったとは言わないよね」
確かに、ここ数年の健斗兄さんは私に厳しかった。
自分で考えろ、自分で動け、そんなことで頼るな、甘えるなって。
でも、それって自分のお嫁さんや子供達にかまけて私の世話をする時間がなかったからじゃないの。
ムダがないというよりは不要なものを置くのが嫌なのかもしれない。
「座って」
史也さんに示されたとおり広いリビングに置かれたレザーのソファーに座る。
「ちょっと待ってて」
キッチンに向かった史也さんは冷蔵庫からミネラルウォーターを二本取り出すと、一本を私の前に置いた。
「コーヒーを淹れたいところだけど、生憎ここにはこんなものしかないんだ。ただの水で悪いけど、よかったらどうぞ」
史也さんはもう一本のキャップを開けるとごくごくと飲み始めた。
半分ほど飲んだところでふうっと息を吐き、斜め横の一人掛けソファーに座る。
そんな様子をただ黙ってみているしかなかった。
居心地が悪い・・・。
「何をどう言ったらいいのかわからないけど・・・薫さん、一つはっきりさせておきたい。君、先週の月曜日の20時頃副社長室に行った?」
先週の月曜日と言えば、あの康ちゃんに慰めてもらった日だ。
「行きましたけど」
「ふうん。やっぱりか。で、そこで何があったの」
「何が・・・ってちょっと愚痴って慰めてもらって・・・」
史也さんが持っていたミネラルウォーターのボトルをトンっとテーブルに置いた。
「それはわざわざ会社でするべきことだったのかい?」
「え・・・でも最近電話してもなかなか出てくれないし、久保山の家にもあまり顔出ししてくれないし、ゆっくり話するチャンスもなくて」
史也さんの眉間にしわが寄り怒りを我慢しているような表情に変わった。
「常々思っていたことだけどね、薫さんの久保山家に対する依存心、強すぎるんじゃないか。キミがまだ未成年だとか学生ならわかるところもある。だが、もう27歳だろう。子供じゃないどころか、成人してから何年経っていると」
「でもさみしいんだもの。話を聞いてもらうのはいいでしょう」
なにか間違ってるだろうか。
家族だったら友人と違ってどんな話を聞いてもらったっていいじゃない。
「弁えるとか、自立する、そんな常識的なことが久保山家と薫さんにはできないんだってことだと理解していいんだね」
「・・・私たちが非常識だって言いたいんですか」
今まで言われたことのないストレートな批判に衝撃と怒りで手が震える。
いくらなんでもこんな言い方ひどすぎる。
「薫さんの幼い頃の話は聞いている。かわいそうだと思うし、近くに親身になって面倒を見てくれる伯母家族がいたのはよかったと思う。でも、キミはその状況にいつまでしがみついているんだい。俺にはキミが伯母一家の足を引っ張ってるようにしか見えないんだが」
「ひどい、そんな言い方・・・」
史也さんとはもう目を合わせられない。
こんな酷いことを言われて怒りで目の奥がチカチカする。
「そう、酷いかもしれないね。今まで自立を促さなかった康史さんや久保山の会長夫婦に責任がある。でも甘えるだけ甘えて周りが見えなくなっていた薫さんの目を覚ましてもらうにはこのくらい言わなくてはいけないんじゃないかなと思うんだ」
「・・・」
「少なくとも、健斗社長は苦言を呈していなかったかい」
「そんなことーー」
「なかったとは言わないよね」
確かに、ここ数年の健斗兄さんは私に厳しかった。
自分で考えろ、自分で動け、そんなことで頼るな、甘えるなって。
でも、それって自分のお嫁さんや子供達にかまけて私の世話をする時間がなかったからじゃないの。