彼女の居場所外伝 ~たんたんタヌキ~
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田所あおいの突撃から二日後、レイフ・カーヴィンがうちの会社にやってきた。
と言ってもこちらも忙しい身なのでゆっくり話を聞く時間はなく彼ひとりでランチタイムに執務室に来てもらったのだ。
田所あおいも同席を希望したらしいが、勿論断わった。
あの女のことは許していないし許せるものじゃない。それにあのリキという子どもを連れて会社に来られたら不愉快な噂や憶測でものを言うヤツがいないとも限らない。
それだけあの子どもは俺や兄貴に似ていた。
そんなわけでひとりでやってきたレイフ・カーヴィンに早希と共に対面した。
2日前に見た時は疲れた様子の萎れた男だったのだが今日目の前にいるのは同一人物か?と見紛うほどの変わりようで、剃られたひげと丁寧にセットされた髪、パリッとしたスーツを着こなした姿は流石いくつもの会社を経営していた人物だと思わせるのに十分なものだった。
目鼻立ちと顎のラインは祖父を感じさせる。
隣で早希も「血縁を感じるわ」と小さく呟いていた。
早希は祖父に会ったことはないから俺や兄貴に似ているという事だろう。
やはりレイフの子どもを同席させなかったことは正解だった。
昨日のうちに電話で謝罪は受けていた。その上での今日の面会なのだが、入ってくるなり土下座でもしそうな勢いで俺たちに謝った。
「あおいから話を聞きました。私の不手際によりあなた方にご迷惑をお掛けし、心よりお詫びします。その上、お二人はご結婚間近と聞きました。このことでなにか溝ができていないかとーー」
「レイフさん、謝罪はもういいのでそれよりお二人の間がどうなったのかを聞かせていただけますか」
この部屋に入ってから繰り返される延々続きそうな謝罪の言葉。それに加えて彼に俺たちの事を心配されるのは余計なお世話というもので正直不愉快だった。
不機嫌な俺をフォローしたのは当然ながら早希だ。
「私たちのことは心配に及びませんので、どうかお気になさらず。レイフさんは田所さんと今後のことを話し合うことができましたか?」
「ええ、はい。私にあおいの居場所を教えてくれたあなた方には本当に感謝しています。でなければ一生私はあおいとも息子とも会えなかったかもしれません。彼女とはきちんと話し合いました。色々誤解もありましたが、何とか納得してもらいましたので早急にイタリアの私の自宅に連れて行こうと思っています」
早希はよかったと安堵の微笑みを浮かべている。
安心したのは俺も同じだ。
しかも日本から離れるのならばなおのこと。
二度と顔を合わせたくないと思うほど田所あおいとは接点を持ちたくなかった。
田所あおいの突撃から二日後、レイフ・カーヴィンがうちの会社にやってきた。
と言ってもこちらも忙しい身なのでゆっくり話を聞く時間はなく彼ひとりでランチタイムに執務室に来てもらったのだ。
田所あおいも同席を希望したらしいが、勿論断わった。
あの女のことは許していないし許せるものじゃない。それにあのリキという子どもを連れて会社に来られたら不愉快な噂や憶測でものを言うヤツがいないとも限らない。
それだけあの子どもは俺や兄貴に似ていた。
そんなわけでひとりでやってきたレイフ・カーヴィンに早希と共に対面した。
2日前に見た時は疲れた様子の萎れた男だったのだが今日目の前にいるのは同一人物か?と見紛うほどの変わりようで、剃られたひげと丁寧にセットされた髪、パリッとしたスーツを着こなした姿は流石いくつもの会社を経営していた人物だと思わせるのに十分なものだった。
目鼻立ちと顎のラインは祖父を感じさせる。
隣で早希も「血縁を感じるわ」と小さく呟いていた。
早希は祖父に会ったことはないから俺や兄貴に似ているという事だろう。
やはりレイフの子どもを同席させなかったことは正解だった。
昨日のうちに電話で謝罪は受けていた。その上での今日の面会なのだが、入ってくるなり土下座でもしそうな勢いで俺たちに謝った。
「あおいから話を聞きました。私の不手際によりあなた方にご迷惑をお掛けし、心よりお詫びします。その上、お二人はご結婚間近と聞きました。このことでなにか溝ができていないかとーー」
「レイフさん、謝罪はもういいのでそれよりお二人の間がどうなったのかを聞かせていただけますか」
この部屋に入ってから繰り返される延々続きそうな謝罪の言葉。それに加えて彼に俺たちの事を心配されるのは余計なお世話というもので正直不愉快だった。
不機嫌な俺をフォローしたのは当然ながら早希だ。
「私たちのことは心配に及びませんので、どうかお気になさらず。レイフさんは田所さんと今後のことを話し合うことができましたか?」
「ええ、はい。私にあおいの居場所を教えてくれたあなた方には本当に感謝しています。でなければ一生私はあおいとも息子とも会えなかったかもしれません。彼女とはきちんと話し合いました。色々誤解もありましたが、何とか納得してもらいましたので早急にイタリアの私の自宅に連れて行こうと思っています」
早希はよかったと安堵の微笑みを浮かべている。
安心したのは俺も同じだ。
しかも日本から離れるのならばなおのこと。
二度と顔を合わせたくないと思うほど田所あおいとは接点を持ちたくなかった。