政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい


「真意はどうであれ、おまえは〝経済力〟で男を選ぶと断言していただろう。それなのに同年代の男にばかりフラフラ惹かれて、一向に俺には会いにこなかった。どうなってるんだ」

八つ当たりに近かった。

秋斗の軽口を信じ勝手に春乃はそのうち俺のもとに来るだろうと考えていただけで、彼女がその通りに動かないからといって責められるいわれはない。

それでも、毎日想いを募らせていたわけではないにしても結果として何年も待たされた身としてはひと言言ってやりたくなった。

苦笑して見つめる先、春乃は困惑した顔を浮かべながらも「そんなの、私が知りたいです」と小声でもらした。





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