政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい


終始話しながらだったのに、手際よくドレスを着せた御園は、お義母さんの言うように腕がいいのだろう。ドレスに向ける眼差しはプロの目線だった。

ドレスに合わせ私の髪を緩くアップにした御園が、カーテンを開ける。

「蓮見さん、お披露目ですよー」という御園の声に顔を上げた大祐さんが立ちあがり、私の前に立った。

目の前というわけではなく、二メートルから三メートルほど離れた場所に立ち私を眺める大祐さんが吟味するように視線を上下させるので恥ずかしさから目を逸らす。

まるで美術品でも楽しむような眼差しが居たたまれない。
大祐さんのことは好きだけれど、あまり私の恥ずかしさだとか気持ちの都合を考えてくれないところはどうかと思う。

心ゆくまで時間をかけて眺めていた大祐さんは、私のドレスの裾と靴がぶつかるくらいまで近づくと、後ろに広がる裾に視線を落とす。

「悪くないな。色も光沢具合も春乃の雰囲気や肌に合っている。生地はシルクか?」
「トップ部分はシルクサテンです。こちらは、スカート部分はチュールとなってますが、オーダーメイドされるときにはレースから色々な種類が選べます。オーガンジーという生地もおすすめで、もしガーデンウエディングなどを予定しているようでしたら、グラスオーガンジーという生地がとても――」



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