政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
その後は、営業トークを炸裂させる御園と、意外と生地や形に詳しい大祐さんが主に話を進めていた。
着るのは私のはずなのに、「春乃さんの髪色や肌の色を考えると、こちらの色の糸で刺繍を入れたレースをあしらうのもいいかと」だとか「これだと可愛らしい顔立ちが強調されすぎて若干幼さが前に出る。彼女の性格からしてももう少し凛とした仕上がりにしたい」だとか、交わされる会話が恥ずかしすぎて入り込む余地はなかった。
ここまで私のことを考えてくれている大祐さんとプロの仕事をしてくれている上に同級生としての意見も取り入れてくれている御園に任せれば最強のドレスが出来上がるのは明らかだったので任せることにする。
結局、御園のところでドレスを仕立てるという流れになったなぁと思いながら、次の打ち合わせの日程を決め店を出ようとしたところで、彼女が笑顔で言った。
「お母様から、一番いい生地で仕立ててもお釣りが出るくらいの手付金はもう頂いているので、私もやりがいがあります。こんな素敵なドレスを手にかけられるの、きっと店としてもそうないのでスタッフ一同誠心誠意を持って取り組ませていただきますね」
どうやら、もうここに送り込まれた時点で流れは決まっていたらしい。
あとでうちの両親に伝えてお礼を送ってもらおう。そして私からも電話を入れて……と帰宅後の予定を考えながら車に乗り込んだ。