政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい


私、宮澤春乃は、両親と兄の四人家族。
祖母がドイツ出身のため、六歳上の兄も私も、髪色と瞳に少し茶色が混ざる。ミルクチョコレートみたいな色だと表現するとわかりやすい。

ショートやミディアム、そして時にはパーマと毎年変えて楽しんでいた髪は、ここ数年は胸あたりまでのロングのストレートで落ち着いている。

二重の目と特に目立たない鼻と唇といった顔立ちは、クォーターだと自己申告しなければまず気付かれない日本人寄りのもので、唯一クォーター要素をあげるとしたら先に挙げた髪色と瞳くらい。
瞳に限ってはよく覗き込まなければ気付かないような些細な違いだ。

外国人のように長身で手足がスラッと長いわけでもなく、どこをとっても平均的なスタイルに大きな不満はないけれど、一六十センチを目前にしてストップした身長だけは未だに悔しく、会社の健康診断のたびに伸びているといいなと希望を持っている。

そんな私が、大学を卒業した二年半前から務めているのが〝レイドバッグホームズ〟。

父が取締役を務める〝レイドバッグホームズ〟は、父のおじいちゃんの代から続くハウスメーカーだ。
地元密着型としてスタートをきった会社は、五十五年という月日をかけエリアを拡大していき今や関東でのシェア率、一位二位を争うまでに成長した。

本部と関東圏内の支部を合わせると従業員も千人近くおり、もちろん、営業職についている社員も多い。

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