愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「寿々那……?」

黙りこくってしまったわたしを、祥さんが怪訝そうに呼ぶ。「どうかしたのか?やっぱり具合が悪くなったか?」と訊かれ、わたしは意を決して口を開いた。

「祥さんっ!」

「なんだ?どうした、いきなり」

「わたしっ、出来るだけ頑張りますからっ……」

「ん?」

「嫁に来たばかりなのに……そ、その…お相手を出来なくて……申しわけなく思っています。でもっ……なるべく頑張りますっ…!だから……」

「寿々那、何を言っている、」

「他の女性(ひと)のところへ行かないで……祥さんが……あなたがわたし以外の方を抱くなんて、いやなの……」

声の末尾が震えてしまった。目頭が熱くなって、じわじわと涙がまぶたに溜まる。

ずいぶんわがままな嫁だと思われたかもしれない。
自分が出来ないからといって、相手にも我慢しろというのは都合が良すぎるのだろうか。

彼が望むのなら体が少しつらいことくらいは我慢できる。

だけど、おなかの赤ちゃんを危険にさらすことだけは絶対にしたくないし、出来ないのだ。
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