愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
けれど次の瞬間、みぞおち辺りから突然吐き気が込み上げてきた。慌てて口元に手を当てた―――その時。
「あ……、」
わたしは自分の手に握られているものに気が付いた。
それはつるりとした四角い紙。
無意識に握りしめていたせいでしわが入っているけれど、白黒の部分は無事。
「わ、わたし……」
そうだ。わたしはもう祥さんの妻というだけじゃない。お腹の子の母なのだ。この子を無事に産み育てていく責任がある。
それに、たとえこの結婚が『政略結婚』だとしても、『奪って欲しい』とお願いしたのはわたし自身。『覚悟はあるか』と訊かれて頷いたのも同じ。
「どうかしましたか、寿々那さ、」
「わたし、帰りません」
「は、」
「わたし、荒尾さんと一緒に森乃やへは戻りません。ここに…祥さんのところにいます」
言いながら体を捩って、肩に回された荒尾の腕を外した。
荒尾から一歩距離を取ったわたしは、荒尾の細い目をしっかりと見て口を開く。
「いいんです、たとえ政略結婚だとしても……。それでもわたしは、彼のそばにいます」
「寿々那さん、あなたまだそんなことを……だからあの男に騙されて、」
「いいえっ、騙されてなんていませんっ!祥さんはそんな人じゃないっ…!」
「あ……、」
わたしは自分の手に握られているものに気が付いた。
それはつるりとした四角い紙。
無意識に握りしめていたせいでしわが入っているけれど、白黒の部分は無事。
「わ、わたし……」
そうだ。わたしはもう祥さんの妻というだけじゃない。お腹の子の母なのだ。この子を無事に産み育てていく責任がある。
それに、たとえこの結婚が『政略結婚』だとしても、『奪って欲しい』とお願いしたのはわたし自身。『覚悟はあるか』と訊かれて頷いたのも同じ。
「どうかしましたか、寿々那さ、」
「わたし、帰りません」
「は、」
「わたし、荒尾さんと一緒に森乃やへは戻りません。ここに…祥さんのところにいます」
言いながら体を捩って、肩に回された荒尾の腕を外した。
荒尾から一歩距離を取ったわたしは、荒尾の細い目をしっかりと見て口を開く。
「いいんです、たとえ政略結婚だとしても……。それでもわたしは、彼のそばにいます」
「寿々那さん、あなたまだそんなことを……だからあの男に騙されて、」
「いいえっ、騙されてなんていませんっ!祥さんはそんな人じゃないっ…!」