愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「帰ってきたら珍しく姿が見えなかったから、温室かと思ってあちらも覗いたがいない。靴もカバンも玄関にあるから家に居ると思っていたのだが……もしかして、と寝室を覗いてみて正解だったな」
「すみません……」
家に入るなり、あまりの気持ち悪さにトイレに駆け込んだのだ。しばらくして二階の寝室に上がったのだけど、玄関に荷物を置きっぱなしだったことを失念していた。
そのうえ、迎えに出るべきわたしを逆に探させてしまうなんて……。
申し訳ない気持ちになってうつむくと、彼の手が頭の上にポンと乗った。
「謝らなくていい。具合が悪い時は気にせずに寝ていていい、いつもそう言っているだろうが」
「でも……」
「無理をすると体に障る。自分一人の体じゃないんだ」
「……はい」
わたしのことを気遣うセリフなのに、胸がひどく痛んだ。まるで『大事なのはおまえじゃなくお腹の子だ』と言われているようで。
同時に頭もズキンと痛み、思わず顔をしかめる。
「大丈夫か?」と言った彼はまたゆっくりと背中を撫でてくれた。
大きく温かな手に背中をさすられる度に、胸に甘やかな想いが湧き出してくる。けれど同時に、やるせない哀しみが胸を締めつけた。
相反するふたつの気持ちがマーブル模様のように渦巻いて、複雑に混じり合いながらどこか出口探している。それらが涙になって目から溢れ出しそうになるのを、わたしは眉間に力を込めることで必死にこらえた。
「すみません……」
家に入るなり、あまりの気持ち悪さにトイレに駆け込んだのだ。しばらくして二階の寝室に上がったのだけど、玄関に荷物を置きっぱなしだったことを失念していた。
そのうえ、迎えに出るべきわたしを逆に探させてしまうなんて……。
申し訳ない気持ちになってうつむくと、彼の手が頭の上にポンと乗った。
「謝らなくていい。具合が悪い時は気にせずに寝ていていい、いつもそう言っているだろうが」
「でも……」
「無理をすると体に障る。自分一人の体じゃないんだ」
「……はい」
わたしのことを気遣うセリフなのに、胸がひどく痛んだ。まるで『大事なのはおまえじゃなくお腹の子だ』と言われているようで。
同時に頭もズキンと痛み、思わず顔をしかめる。
「大丈夫か?」と言った彼はまたゆっくりと背中を撫でてくれた。
大きく温かな手に背中をさすられる度に、胸に甘やかな想いが湧き出してくる。けれど同時に、やるせない哀しみが胸を締めつけた。
相反するふたつの気持ちがマーブル模様のように渦巻いて、複雑に混じり合いながらどこか出口探している。それらが涙になって目から溢れ出しそうになるのを、わたしは眉間に力を込めることで必死にこらえた。