愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
わたしはそれをゆっくりと本棚から抜き取ると、中を開いた。

そこには、森乃やの得意先など、ここ十年間の収益額などが細かく書かれている。他にも従業員の勤続年数や給与まで記されたリストもあった。

別に驚くほどのことではない。
融資をする相手のことを念入りに調査するのは当たり前のこと。下調べをきちんと行ったうえで、自社にとって有益かどうかを考えるのは、経営者として当たり前のこと。

そう自分に言い聞かせながらファイルを閉じて元の場所に戻そうとした時、ファイルから何かの紙がはみ出していることに気が付いた。落ちたはずみで飛び出したのかもしれない。

中にきちんと収めておこうとファイルを再び開いた瞬間、わたしの喉が「ひゅっ」と音を立てた。
そこにあったのは、文字も枠線もすべてが緑で書かれている用紙。

『離婚届』だった。
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