愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
突然の初対面に恐縮しきりのわたしに、お義父(とう)さまは『たまたま用事で近くまで来たからご挨拶をと思って』とおっしゃった。

わたしが慌ててご挨拶が遅くなったことを謝ると、お父さまはあっさり『気にしなくていい』とおっしゃったうえで、『こちらの都合のせいで申し訳ない』と逆に頭を下げられてしまった。突然の訪問になってしまったのは、『立ち寄れる時間があるか分からなかったから』だそうで、そのことも丁寧に謝ってくれた。

お義父さまのお話によると、数年前にお義母(かあ)さまが病を患ったのを機に、社長の椅子を息子に譲り夫婦二人で鎌倉に移住。今は看護師や介護士の訪問を受けつつ、二人きりでゆったりとお過ごしになっているそうだ。

この日はお母さまの体調が良かったので介護士に任せ、お父さまは東京に用事があって出ていらっしゃり、そのついでにこちらに立ち寄られたということだった。

お母さまは日によって体調がまちまちで、芳しくない日は誰かと会えるような余裕はない。そのことがあった為、祥さんは中々鎌倉に行く日を決めかねたのだろうと、お義父さまはおっしゃった。

そうこうしているうちにわたしの妊娠が分かったので、安定期にまで延期となってしまい、挨拶が今になってしまった、というわけだ。
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