愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】

ロンドンのあの夜。
『初めて』を押し付けたわたしに、彼は奪うではなくたくさんのものを与えてくれた。

自由も希望も恋する気持ちも、愛することも。
十月十日、お腹の中で育んでいく宝物も。

あんな出会い方をして、お互いのことを良く知らないまま夫婦になったわたしたちだから、これからもきっと初めて知ることがたくさんあるだろう。

言葉にしないと自分の気持ちは相手には伝わらないし、相手のことも分からない。
時には、誤解やすれ違いが生まれたりすることもある。

『もっと自分のことを両親に話していれば、違う道があったのかもしれない』

母との和解から、わたしはそれを学んだのだ。

だけど、もし。もしも『違う道』を進んでいたら――?

わたしはあの時祥さんに出逢えなかったかもしれない。

彼と出逢えなかった別の未来なんて、もう想像できないし、したくもない。
過去を振り返ると反省することばかり。だけど、自分が選んできた道を後悔はしたくない。過去のすべてが今に繋がっているのだから。

いっぱいになった水がグラスからこぼれ落ちるように、想いが音になって口からこぼれ出した。

「大好きです、祥さん。ずっと一緒にいてください」
< 197 / 225 >

この作品をシェア

pagetop