愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
ここは『月香館』。
もとは江戸時代に藩主が別邸として作ったもので、それが時代の変遷と共に人手に渡り、今回香月リゾートが買い取って旅館として新たに生まれ変わらせたという。
訪問の目的は、来週末のオープンに備えて最終チェックだそうだ。
なるほど。せっかく実家から近い場所に新しい施設を作ったのだから、わたしにもそれを見せておこうと連れて来てくれたのか。会社関係の集まりやパーティ同伴のときのためにも、しっかりと勉強しておこう。
そんなふうに考えながら祥さんと支配人の会話に耳を傾け、館内を歩いていく。するとすぐに純和風の大広間に出た。
さすが元藩主別邸。
軽く五十畳以上ありそうな部屋と長い縁側。その向こうには広大な日本庭園が。
池の水面に新緑と青空が映り込んでいる。
日本庭園なんて子どものころから見慣れているはずなのに、思わず感嘆が漏れる。まるで自分が大名家の一員になったような気分だ。
「あの池は『待月池』。水面に映った月が美しいことから、当時の藩主がその名をつけたそうだ」
「なるほど……夜でも景色を楽しめるように造られたのでしょうね」
「ああ。庭にはほとんど手を加えていないから、造られた当時の姿のままなんだ」
まっすぐに庭を見つめている祥さんの口元が、誇らしげに上がっている。
ここ数年、ほとんど休む間もなく仕事に打ち込んできた彼。
その成果のひとつを一緒に見ているのだと思ったら、自然と胸の奥から熱いものが込み上げてきた。
「本当にすばらしいです」と言った声がかすかに揺れてしまったけれど、彼はなにも言わず柔らかな微笑みをくれた。
もとは江戸時代に藩主が別邸として作ったもので、それが時代の変遷と共に人手に渡り、今回香月リゾートが買い取って旅館として新たに生まれ変わらせたという。
訪問の目的は、来週末のオープンに備えて最終チェックだそうだ。
なるほど。せっかく実家から近い場所に新しい施設を作ったのだから、わたしにもそれを見せておこうと連れて来てくれたのか。会社関係の集まりやパーティ同伴のときのためにも、しっかりと勉強しておこう。
そんなふうに考えながら祥さんと支配人の会話に耳を傾け、館内を歩いていく。するとすぐに純和風の大広間に出た。
さすが元藩主別邸。
軽く五十畳以上ありそうな部屋と長い縁側。その向こうには広大な日本庭園が。
池の水面に新緑と青空が映り込んでいる。
日本庭園なんて子どものころから見慣れているはずなのに、思わず感嘆が漏れる。まるで自分が大名家の一員になったような気分だ。
「あの池は『待月池』。水面に映った月が美しいことから、当時の藩主がその名をつけたそうだ」
「なるほど……夜でも景色を楽しめるように造られたのでしょうね」
「ああ。庭にはほとんど手を加えていないから、造られた当時の姿のままなんだ」
まっすぐに庭を見つめている祥さんの口元が、誇らしげに上がっている。
ここ数年、ほとんど休む間もなく仕事に打ち込んできた彼。
その成果のひとつを一緒に見ているのだと思ったら、自然と胸の奥から熱いものが込み上げてきた。
「本当にすばらしいです」と言った声がかすかに揺れてしまったけれど、彼はなにも言わず柔らかな微笑みをくれた。