愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
戸惑いからすぐにはうなずけないでいると、祥さんはさらに驚くことを口にする。

「泊まるのに必要な物はすべて用意してある」

泊まるの? ここに? だれが?
いっせいに湧き出した疑問符に脳内処理が追いつかない。

「心配するな。俺たちがここに泊まることは、ご両親も希々花さんご夫婦も了承済みだ。もちろん(さき)にも言ってある」

「えっ!」

まさか幸本人にも説明済みだとは……。
あまり手際の良さに呆気に取られて固まっていると、唇にすばやく音をたてられた。

「またそんなかわいい顔をして……煽っているのか?」

「煽ってなんて」

「愛しい妻のお望みとあらば、応えてやるのもやぶさかではないぞ」

「なっ!」

飛びのくように彼から離れる。冗談を言っているわけではないことは、彼の目を見れば一目瞭然。この腕に捕まえられて、逃げ出せたことなんて一度もない。

「わ、わたしっ、さっそくお風呂を頂いてきます!」

きびすを返し、逃げるように部屋を後にした。


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