愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
[3]
「とりあえずこれで目を冷やしたらいい」
「すみません……」
わたしは受け取ったタオルを言われた通り目に当てた。泣きすぎて熱を持ったまぶたにひんやりとした濡れタオルが心地好い。きっと氷水で冷やしてくれたにちがいない。
「ご迷惑をおかけしました……」
「あんなところであんなふうに泣かれたら、さすがの俺もどうしようかと思ったな」
「すみません……」
ソファーの端にちょこんと腰かけたわたしは、文字通り小さくなるしかない。
だけど彼が言った通りだ。あんなところであんな大泣きをするなんて……迷惑にもほどがあるでしょ。
レストランを出てエレベーターの前で、いきなり『食べてください』という意味不明なことを口走ったわたしに、祥さんは思いきり怪訝そうな顔つきになった。
慌てて詳しく説明しようと口を開いたのに、出てきたのは言葉ではなく嗚咽。
しかも両目からは滂沱の涙が流れ出していて、泣くつもりなんてひとつもなかったから、自分でも涙腺がおかしくなったのかと思った。
喋ろうとすればするほど、泣き声は大きくなり、両手で顔を覆ってしゃくり上げるように泣きじゃくるわたしを、祥さんがここまで連れて来てくれたのだ。
ここは、ザ・シャード内のホテルの一室。
『ここは自分の部屋だ』と彼は言った。
「とりあえずこれで目を冷やしたらいい」
「すみません……」
わたしは受け取ったタオルを言われた通り目に当てた。泣きすぎて熱を持ったまぶたにひんやりとした濡れタオルが心地好い。きっと氷水で冷やしてくれたにちがいない。
「ご迷惑をおかけしました……」
「あんなところであんなふうに泣かれたら、さすがの俺もどうしようかと思ったな」
「すみません……」
ソファーの端にちょこんと腰かけたわたしは、文字通り小さくなるしかない。
だけど彼が言った通りだ。あんなところであんな大泣きをするなんて……迷惑にもほどがあるでしょ。
レストランを出てエレベーターの前で、いきなり『食べてください』という意味不明なことを口走ったわたしに、祥さんは思いきり怪訝そうな顔つきになった。
慌てて詳しく説明しようと口を開いたのに、出てきたのは言葉ではなく嗚咽。
しかも両目からは滂沱の涙が流れ出していて、泣くつもりなんてひとつもなかったから、自分でも涙腺がおかしくなったのかと思った。
喋ろうとすればするほど、泣き声は大きくなり、両手で顔を覆ってしゃくり上げるように泣きじゃくるわたしを、祥さんがここまで連れて来てくれたのだ。
ここは、ザ・シャード内のホテルの一室。
『ここは自分の部屋だ』と彼は言った。