愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
何かを考え込むように黙ったしまった祥さんを見つめながら、わたしはゴクンと生唾を飲み込んだ。
ここからだ。大事なのはここから。
「だからっ…、」
うっかり声が裏返りかけて、「んっんっ」と咳ばらいをする。
「だから最後の夜くらい自分勝手でも許されるはずです……」
頬杖を外した祥さんの眉根がグッと寄せられるのが、向かい側からでもよく分かった。何を言いたいんだと不思議に思っていることだろう。
彼がそのことを口に乗せるより早く、わたしは続きを口にした。
「処女を捧げる相手くらい自分で決めたいんです!それくらい、バチは当たらないと思いませんか…!?」
「は?」
「わたしの夫になる人は、わたしより一回り以上歳が上で……あまりタイプの人でもなくて……。いいえ、正直に言います。苦手なんです、その人のこと。ちょっと触られただけでぞわぞわするのに、そんな相手が人生最初で最後のセックスの相手だなんて……あんまりだと思いませんか?」
そう言ったわたしに、祥さんは大きく目を見張って絶句したあと、額を抑えてうつむいてしまった。