愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「はぁ~~っ、」

祥さんがバスルームに消えたあと、わたしはソファーの上で思いきり脱力した。

「わたしったら……いったいなんてことを……」

場所もわきまえずに大泣きしたうえ、彼に『処女を貰ってくれ』だなんて、強引な訪問販売よりも質が悪いかも。

ソファーの背に頭を乗せて目を閉じていたわたしは、おもむろに立ち上がって部屋を見回した。

ホテルの一室だということは分かっているけれど、ここに来た時は泣きじゃくっていて部屋の中を全然見ていなかったのだ。

わたしが座っていた応接セットは、リビングと言ってもいいほどの広さがある部屋に置かれてるのに、ベッドは見当たらない。奥に扉があることからそちらがベッドルームなのだと思う。祥さんがシャワーを浴びているはずなのに、その音がかすかに聞こえるだけだから、よっぽど広いバスルームなのかもしれない。

こんなロンドンのど真ん中の有名なビルのホテル。そこに宿泊しているだけでもすごいのに、さらにこの豪華なスイートルームだとは―――。

「彼っていったい……」

今さらながらそんなことを気にするだなんて。
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