愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
最初は強引に彼に連れて来られた『デート』だったけれど、決して嫌々じゃなかったし、むしろすごく楽しかった。
数刻前に見たロンドンの日暮れと夜景を思い返して、ついうっとりする。

見た目もエスコートもすべてが完璧な男性とロンドンでデートが出来たなんて、この思い出は一生の宝物になるはず。

これからどんなことが待ち受けていても、『あなたには素敵な思い出があるでしょう』と自分を慰めることが出来るだろう。

「でも……」

自分が今からしようとしていることは、未来の夫への裏切り行為。
別に恋人でも許婚でも何でもないから、『裏切り』というのは大げさかもしれないけれど、結局『あなたなんかに()げるくらいなら、そのへんに捨てた方がマシ』という実力行使に他ならないのだ。
それを『裏切り』と言わず何というのだろう。

「反逆……かな」

ポツリとそう口にしたわたしは、さっきからずっと飛び出しそうなほど暴れている心臓を無視するように、勢いよく立ち上がって入口へと向かった。


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