愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
[3]

「これでよしっ!あとは煮込むだけ」

コンロの上の鍋にふたをし、額に浮かんだ汗を拭った。
鍋の中では、大きめに切った野菜と厚切りのベーコンが、透き通った黄金色の汁の中で煮られている。

わたしが作ったのはポトフ。

だけど一般的なポトフじゃなく、昆布や鰹、飛魚(あご)などの粉末が入った出汁パックを使って煮込んだ『和風ポトフ』だ。

料亭の娘なのに出汁パックを使うなんて、と思われるのは重々承知だけれど、この出汁パックは無添加で、手軽なのに本格的な和食が作れる優れもの。先日実家から送られてきたわたしの荷物と一緒に、この出汁パックが入っていたのだ。

さらにこの『和風ポトフ』の特徴は、一緒に生姜も煮ていること。
生姜は胃腸を整える作用や血行をよくする作用があるハーブだ。日本では薬味、世界ではスパイスとして昔から愛されている。


「祥さん、美味しいって言ってくれるかなぁ……」

コトコトと歌う鍋を見下ろしながら呟く。
祥さんの好みが分からなくて少し不安。彼にちゃんとした手料理を振舞ったのは、まだ数えるほどしかないから仕方ないかもしれないけれど。
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