エリート心臓外科医の囲われ花嫁~今宵も独占愛で乱される~
 身体の中心を強制的に溶かされてゆくような感覚に、千春は無我夢中で彼の肩にしがみつく。
 シャツから感じるいつもより野生的な彼の香り。その下は燃えるように熱かった。

「……っ」

 耳に感じる彼の吐息が少しづつ荒く甘くなってゆく。
 はじめての行為は、いったいなにが起こるのか、自分の身体がどう反応するのかまったく見当が付かなくて少し怖い。
 でも彼とならどうなってもいいと高鳴る鼓動が言っている。
 彼とならなにが起こっても……。
 熱い彼の唇が首筋に移動して、千春の身体がまたぴくんと跳ねる。少し息苦しさを覚えた時。

「……千春? 大丈夫?」

 清司郎の手と唇が止まった。
 ホッとしたような残念なような気持ちを持て余したまま、ゆっくりと千春は目を開く。くたりと彼の腕に身を預けたまま、呼吸を整えた。

「……大丈夫」

 掠れた声でようやくそれだけを言うと、大きな手に優しく額を撫でられる。
 ぼんやりとする視線の先で清司郎が微笑んだ。

「部屋まで送るよ」
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