再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「もしかして先生酔ってますか?」
「なわけあるか」

ですよね。皆川先生は昔からお酒が強くて酔っ払った姿なんて見たことがない。もちろん自分で自制しているからだろうと思うけれど。

「じゃぁ、冗談ですか?」
「いや、本気だ」

意味がわからない。皆川先生にとって私は同じベッドに寝ることに抵抗を感じないほど子供だってことなのか、それともからかわれているのか。私には趣味の悪い冗談にしか聞こえない。

「3年前、お前は俺に告白したよな?」
「ええ、しました。そして、ふられましたよね?」

今このタイミングでなぜそんな話を蒸し返すのか、これまた意味がわからない。

「俺は、ふってはいないぞ」
「はあ?」

3年前、間違いなく「君の気持ちには答えられない」と言われた。あれは聞き間違いではない。

「確かに『君の気持ちには、今は答えられない』と言った」
「でしよ?」
「バカ、最後まで聞け。あの時俺は、今は答えられないって言ったんだ。当時研修医として仕事を覚えるのが優先だったお前が、一人前の医者になった時にちゃんと話をしようと言ったはずだ」
「え・・・」
そんなの知らない。
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