再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「普段から人の話を最後まで聞かず早合点するお前の悪い癖だよ。最後まできちんと話を聞いてからでないといつか判断を誤るぞ」

いきなり上司の説教口調に戻った皆川先生に思わずㇺッとする。

「なんで、今まで言ってくれなかったんですか?」
私はずっとフラれたものと思ってきた。

「俺もついこの間までお前にフラれたものだと思っていた。今は仕事に専念しようと言った俺の言葉が気に入らなくて逃げていったんだと」
「じゃぁ、なんで私の罪を被って病院を辞めるような真似をしたんですか?」

自分をフッた女のことなんてかばう必要はないじゃない。
ばっさり切り捨ててくれれば、たとえ医師生命を絶たれても私一人が処分を受けて終わったのに。

「俺の言葉がお前を暴走させたのは事実だ。そうだろ?」
「ええ、まあ」
まだ子供だった私は自分の気持ちを抑えることができなくて、意固地になって突っ走ってしまった。

「であるならばあの医療事故の責任は公私ともに俺にある。そう思ったからだよ」
「そんな・・・」
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