再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
玄関を開けると、そこには副院長と奥様が待っていた。

「おかえり」
「・・帰りました」

さすがに副院長の顔が見れなくて、私は下を向く。

「さあ、どうぞ」
奥様にスリッパを出してもらい、新太と2人家に上がった。

玄関を入ってから副院長は一切新太を見ないし、話しかけることもない。
ただ黙って私たちの前を進んでいく。

私と新太は副院長の少し後ろを歩きながら、廊下の先にある客間へと向かった。


昔ながらの日本家屋にはいくつもの部屋がある。
いつも家族が過ごすリビングやそれぞれの寝室、副院長の書斎や奥様の部屋。応接間も客間も仏間もそれぞれの用途とお客様で使い分けられる。
 
私と新太が案内されたのは12畳ほどはある客間。
普段はめったに使われることのない畳敷きの静かな和室。
大きくて立派な座卓を挟み副院長と向かい合った。
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