再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「ちゃんと休みを取って墓参りに行くんだぞ」
「・・・」

私はニコリと微笑んだだけで返事をしない。

「休みがとりにくいなら消化器科の部長に僕から言おうか?」
「やめてください」
そんなことをされればますますやりにくくなる。

私が副院長の存在を知ったのは今から半年前。
当時、人間関係のトラブルがもとで前の病院を辞めてしまった私は本当にボロボロの状態だった。
食事もできず、外出もせず、ただマンションの中で息をひそめていた。
もしかしたらこのまま死ぬのかもしれないと、何度か頭をよぎった。
そんな時、私の前に現れ手を差し伸べてくれたのが副院長だった。

「くれぐれも無理をするんじゃないよ」
「・・・」

過保護なくらいに気を使ってくれる副院長に文句なんて言えるはずもなく、笑ってごまかした。

私だって最初は、いきなり現れ「君のお父さんの友人だった」と言われても信用できなかった。
怪しんだし、何か魂胆があるんじゃないかと疑った時期もある。
しかし、何度か会ううちに実直で良い人なんだと思えるようになった。
「行くところがないならうちにおいで」そう言われ、行き場を失っていた私はこの片田舎に越してきたのだ。
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