外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


 日本人夫婦の経営するレストランは、開店してまだ半年が経ったばかりらしく、木造りのナチュラルモダンテイストな店内は綺麗で新しさを感じる。

 まだ一周年を迎えていなくてもレストランは盛況で、多くの観光客で賑わいをみせていた。

 料理はフュージョン料理を提供していて、アイディアに驚かされる美味しい料理がいただけるという。


「料理はコースで頼みました。とりあえずスパークリングウォーターでお願いしましたが、何かお好きなものがあれば注文します」

「ありがとうございます。スパークリングウォーターで十分です」


 私の返答に、大河内さんは薄い唇に微笑を浮かべる。


「ここが日本なら、ワインでも頼むところですけど」

「あ、確かに。そうですね」


 モルディブは宗教上、飲酒は禁止されている。

 リゾート島や空港のホテル、クルーズ船上などは特例で飲酒ができる場所もあるけれど、それ以外は観光客だとしてもお酒を飲むことはできないのだ。


「カメラマンになられてからは、もう長いのですか?」


 互いのグラスにスパークリングウォーターが注がれ、彩の美しい前菜プレートが置かれていくと、向かいに掛ける大河内さんが口を開いた。

< 46 / 254 >

この作品をシェア

pagetop