過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
「美香、好きだ」

戯れの睦言に、心が惑わされていく。
これが、何かを引き換えにした関係だったとしてもかまわないとすら思えてしまうほど、彼の腕の中は心地よい。

「あぁぁ……」
「美香!」

高みに押し上げられて、たまらず拓斗を引き寄せた。


激しさが過ぎ去れば、急速に熱が奪われていく。
正面からぎゅっと包み込んできた拓斗は、しばらくすると私の髪を撫でながら時折口づけてくる。それがまるで突然の行為に対して反省している表れのようで、あまりのかわいらしさに思わずくすりと笑いを零した。

「急にどうしたんですか」

はぁと息を吐いた拓斗は、少し気まずげにしながもさらに体を寄せてくるから、その表情が確かめられない。たぶん、意図的に私から見えないようにしているのだろう。頬に触れる彼の胸元からは、まだ落ち着き切らない鼓動が伝わってくる。

「……あのドレスを着た美香を想像したら……美香が欲しくなった」
「っ……」

ストレートな言葉に、思わず言葉を失った。

「その横に立つことを許されたのが、ほかでもない俺だという事実に我慢できなくなった」

許されたとはどういう意味だろう? むしろ、私の方が彼の隣に立ってよいと許してもらった立場だ。

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