過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
少しだけ急くように自身の服を取り払うと、私の身に着けていたものも次々と取り払っていく。

「綺麗だ」

そんな戯れの誉め言葉にすら、弱った心は簡単にときめいてしまう。

自分がこれほどまで流されやすい人間だとは知らなかった。会ったばかりの本当の名前すら知らない男に組み敷かれて、あられもない姿を晒しているというのに、恥ずかしさはあっても逃げ出す気持ちは微塵も湧いてこない。
とにかく今は、自分を甘やかしてくれるこの人に全てを預けてしまいたいとすら思えてしまった。

「嫌なら全力で押しのけて」と拓斗は言うけれど、それはもうできそうにない。嫌じゃないと思ってしまったから。彼の優しい拘束から逃れるつもりはない。

「あっ……だめ……」

押し寄せる快感に抵抗するように体をそらせば、逃がすまいとすぐさま口づけが降ってくる。

「あぁぁ……」

一夜の戯れだと言うのに、ずいぶん丁寧に扱われている。
あっという間に高みに追いやられて、真っ白な世界に放り出されてしまった私をつなぎとめるかのように、拓斗がぎゅっと抱きしめてきた。

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