過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
アローズグループと言えば、国内では業界トップ。その代表取締役が神山正之と、私も知っている。同じ苗字の彼は、おそらく親族なのだろう。
たしか、なんとかアローズのコネクションが欲しいと、一時期朔也が模索していたのを覚えている。自社でブライダル事業を展開しているアローズグループに参画するなんて、よほどでない限りあり得ない話だ。相当名の売れたデザイナーや有名な司会者を抱えているなど、アローズにとっても何らかのメリットがなければ無理だろう。
そう思い出して、胸に鈍い痛みが走った。もう朔也とのつながりがなくなってしまったのだという事実が、未だに私を苦しめる。
こんなふうにひとりで勝手に傷つくなんて嫌なのに、彼のことはまだまだ忘れられそうにはない。
「どうした、美香」
急に黙り込んで俯いた私を気遣うように、拓斗が声をかけてくる。
あの夜、私の事情はほぼ話してしまったとはいえ、それをここで持ち出す必要はないだろう。
「い、いえ。まさかあなたが、アローズの副社長だなんて思ってなくて。てっきり、教えられた名前も偽名だとばかり……」
立場のある人ならなおさら、一夜の相手に本名を告げるなど無防備な言動はしないだろう。
目の前に座る彼が、警戒心のない人だとは思えない。それどころか、見れば見るほど一ミリの隙もない人だと感じる。
たしか、なんとかアローズのコネクションが欲しいと、一時期朔也が模索していたのを覚えている。自社でブライダル事業を展開しているアローズグループに参画するなんて、よほどでない限りあり得ない話だ。相当名の売れたデザイナーや有名な司会者を抱えているなど、アローズにとっても何らかのメリットがなければ無理だろう。
そう思い出して、胸に鈍い痛みが走った。もう朔也とのつながりがなくなってしまったのだという事実が、未だに私を苦しめる。
こんなふうにひとりで勝手に傷つくなんて嫌なのに、彼のことはまだまだ忘れられそうにはない。
「どうした、美香」
急に黙り込んで俯いた私を気遣うように、拓斗が声をかけてくる。
あの夜、私の事情はほぼ話してしまったとはいえ、それをここで持ち出す必要はないだろう。
「い、いえ。まさかあなたが、アローズの副社長だなんて思ってなくて。てっきり、教えられた名前も偽名だとばかり……」
立場のある人ならなおさら、一夜の相手に本名を告げるなど無防備な言動はしないだろう。
目の前に座る彼が、警戒心のない人だとは思えない。それどころか、見れば見るほど一ミリの隙もない人だと感じる。