過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
「相手が美香だったから、俺は本名を告げた。美香でなければ、自身の泊る部屋に招くなど無責任な行動などするわけがない」
「私、だから?」
「そうだ」
たしか彼は、私を捕まえに来たとも言った。その目的は一体なんだというのか。
これではまるで、以前から私を知っており、そのうえで声をかけたのだと聞こえるのは気のせいだろうか。
思案する私を見る彼の目が、なんだかいたずらっ子のように煌めいた。
「野々原美香、二十五歳。ドレスメーカー・フェリーチェのデザイナー。今は上司の推薦を得て会社の研修制度を利用し、パリでデザインの勉強中」
「ちょ、ちょっと待ってください。なぜ知ってるんですか!? そ、それに、さっきもみんなの前で〝美香〟って呼んでましたけど、偽名だとは思わなかったんですか?」
まさか、あの一夜をきっかけに調べたというのだろうか。下の名前だけで個人情報を暴くなど、可能だとは思えない。
もしかして、正体を明かすような発言を不用意にしてしまった可能性は? 東京で働いていると言ったのは覚えている。それ以上に何か話してしまっただろうか。
狼狽える私を前に、拓斗は疑問に答えるつもりがないのか、肩をすくめてさらに続ける。
「傷をえぐるつもりはないが、あえて言うと……」
そう言って、私を気遣う視線を向けてくる。
不穏な言い回しに、なんとなく言われる内容を察して唇を嚙み締めた。
「私、だから?」
「そうだ」
たしか彼は、私を捕まえに来たとも言った。その目的は一体なんだというのか。
これではまるで、以前から私を知っており、そのうえで声をかけたのだと聞こえるのは気のせいだろうか。
思案する私を見る彼の目が、なんだかいたずらっ子のように煌めいた。
「野々原美香、二十五歳。ドレスメーカー・フェリーチェのデザイナー。今は上司の推薦を得て会社の研修制度を利用し、パリでデザインの勉強中」
「ちょ、ちょっと待ってください。なぜ知ってるんですか!? そ、それに、さっきもみんなの前で〝美香〟って呼んでましたけど、偽名だとは思わなかったんですか?」
まさか、あの一夜をきっかけに調べたというのだろうか。下の名前だけで個人情報を暴くなど、可能だとは思えない。
もしかして、正体を明かすような発言を不用意にしてしまった可能性は? 東京で働いていると言ったのは覚えている。それ以上に何か話してしまっただろうか。
狼狽える私を前に、拓斗は疑問に答えるつもりがないのか、肩をすくめてさらに続ける。
「傷をえぐるつもりはないが、あえて言うと……」
そう言って、私を気遣う視線を向けてくる。
不穏な言い回しに、なんとなく言われる内容を察して唇を嚙み締めた。