過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
罪悪感にさいなまれて俯きつつ、チラリと目の前に座る朔也を見つめた。彼は斜め上方を見つめてしばらく何かを考え込んでいたかと思ったら、不意に笑みを浮かべて私に視線を合わせてきた。
「すごいじゃん、美香。それって、美香にはパリへ学びに行くだけの価値があると、梶原さんに認められたんだよな?」
「そ、そうなるのかな」
手放しで祝福する朔也の勢いに押されて、少々気後れしてしまう。
「そうだって」
彼は一年も離れ離れになるというのに、なんとも思っていないのだろうか。
矛盾しているのはわかっているが、ついそんなふうに考えてしまった。
「勝手に決めて、怒ってないの?」
遠慮がちに尋ねれば、朔也はどこかわざとらしく考えるふりをしてみせてくる。
「そりゃあ、決める前にひと言ぐらい話してくれてもとは思うよ。でも、美香は自分でこうと決めたら、何がどうあったって考えを変えないだろ? 美香の性格ぐらいわかってるから」
これまでも朔也は、こうして私のやりたいようにさせてくれた。でも、さすがに今回は規模の大きな話だ。今まで通りにはいかないかもと思ったけれど、彼は笑顔で私のパリ行きを後押ししてくれた。
「仕事に関して、美香は途端に頑固になるからな」
いろいろと思い出したのか、苦笑気味に朔也が続けた。
「そう、なのかな?」
「そうだって。夢なんだろ? 素敵なデザイナーになるのが」
一緒にお酒を飲みながら何度も語って聞かせた従妹の結婚式から始まる私の夢の話は、朔也だってもちろん知っている。
「うん」
「だったら、俺に遠慮することはない。行っておいでよ」
「いいの?」
だめだと言われても変更はしない。それでも思わず聞き返していた。
「ああ。頑張ってこい。俺は日本で待ってるから」
それから三ヵ月経った三月の終わりに、私はパリへと旅立った。
「すごいじゃん、美香。それって、美香にはパリへ学びに行くだけの価値があると、梶原さんに認められたんだよな?」
「そ、そうなるのかな」
手放しで祝福する朔也の勢いに押されて、少々気後れしてしまう。
「そうだって」
彼は一年も離れ離れになるというのに、なんとも思っていないのだろうか。
矛盾しているのはわかっているが、ついそんなふうに考えてしまった。
「勝手に決めて、怒ってないの?」
遠慮がちに尋ねれば、朔也はどこかわざとらしく考えるふりをしてみせてくる。
「そりゃあ、決める前にひと言ぐらい話してくれてもとは思うよ。でも、美香は自分でこうと決めたら、何がどうあったって考えを変えないだろ? 美香の性格ぐらいわかってるから」
これまでも朔也は、こうして私のやりたいようにさせてくれた。でも、さすがに今回は規模の大きな話だ。今まで通りにはいかないかもと思ったけれど、彼は笑顔で私のパリ行きを後押ししてくれた。
「仕事に関して、美香は途端に頑固になるからな」
いろいろと思い出したのか、苦笑気味に朔也が続けた。
「そう、なのかな?」
「そうだって。夢なんだろ? 素敵なデザイナーになるのが」
一緒にお酒を飲みながら何度も語って聞かせた従妹の結婚式から始まる私の夢の話は、朔也だってもちろん知っている。
「うん」
「だったら、俺に遠慮することはない。行っておいでよ」
「いいの?」
だめだと言われても変更はしない。それでも思わず聞き返していた。
「ああ。頑張ってこい。俺は日本で待ってるから」
それから三ヵ月経った三月の終わりに、私はパリへと旅立った。