スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜



 私にも役に立つことが何かもっとあるはずよ。

 ギュッとプレートを握りしめて、レイの横顔を眺めているとあることを思いつく。


「もしかしたら……」

「どうかしたか?」

「実はねユツィーに心を宿したのは、私のスキルの力なの」

「なんだと?」


 食い気味に聞いてくるレイはお構い無しに距離を縮めてくる。

 ドキドキしそうになるのを一つ呼吸を整えて落ち着かせてから、私のプレートを初めてレイに見せると、彼は私のプレートをまじまじと見つめた。


「魅了無効の他に、新芽の息吹っていうスキルをここに来てから獲得したの。ユツィーがああやって自分の意思で動くようになった日にはもう、このプレートに刻まれていたわ」

「俺が長年研究してきて破れなかった壁を、ルフィアはいとも簡単に……」


 じとーっと羨ましそうに眺められても私にはどうする事も出来ないけど、でももしかしたら力になれる可能性はある。

 心無きものに心を宿すスキル……だとしたら、レイみたいにとはいかないけれど、私にもゴーレムのようなものが生み出せるかもしれない、そう思ったのだ。

 ゴーレムの頭の上に乗っかっていた小石を拾い上げて、スキルを唱えた。


「スキル【新芽の息吹】」


 レイのような立派な魔法は使えないし、思うようにはいかないかもしれないけれど……もっと彼の役に立ちたいの。

 想いを込めるように唱えると、手に持っていた小石から僅かに熱を帯びて、そのままキラキラと輝き――。


「……やった!動いた!」


 レイのようなゴーレムには到底迫力は及ばないが、私の手の上で小石がぴょんぴょんと小さく跳ねた。

 親指に頭を擦り釣るような動作をして見せる小石が、段々小動物のように思えてきた。




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