スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
顔はないのに、こんなにも愛らしいなんて……罪深い!
これで可能性は大きく広がったことに胸が踊る。
「これで私もっとレイの役に立てるわ!まだこのスキルがどこまで役に立てるか分からないけど、魔法とスキルを掛け合わせたら、もっと出来ることが増えそうじゃない?レイが教えてくれた通り、これが役に立つスキルなんて少し誇らしい気持ちだわ」
「どこまで俺に欲求を植え付けてくるんだ……ルフィア」
「え?」
「もっと君が欲しくなってしまう」
レイの呟く言葉は下から低く唸るような鈍い音が響いてきて、上手く聞き取れずにいるとグラグラと立っている場所が揺れる。
どうしたのかと周囲を確認するよりも先に、レイが私のことを瞬時に抱きかかえてその場から逃げるように距離を取る。
「きゃっ!」
大きな振動と共に土煙が大きく立ち込めて、視界を一気に悪くする。
地面に戻ってきた私達は土煙が引いた後に、大きな山……ではなく、魔法が溶けたゴーレムの体がそこにあった。
ゆっくりと地面に下ろされて、二人でそのゴーレムだった岩を見つめた。
「どうやら……俺の魔法はまだ完成していないらしいな」
「ゴーレムの体の維持にはどうやら、限界があるみたいだね。それか集中力不足とか〜?精神に揺らぎがあると、魔法陣って脆くなるしね〜?こんなに豪快に壊れるゴーレム初めて見た〜!脆いねー!ボロボロー!」
落胆するレイの声にいつの間にかこちらへやって来たシュマの本音が聞こえていないのに謎の安堵をしつつ、どう言葉を掛けようか迷っていると、手のひらから小石が逃げるようにして落ちていく。
「あっ……」
コロコロと転がっていく小石をそのままにはしておけず、何か考え始めて難しい顔をするレイを置いて、私は小石の後を追った。