スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
もう、彼は私を必要としていない。
完成した魔法によって今回の戦争は勝利を掴み取ったのだから、ここに私がいる理由はない。
甘い言葉も優しく接してくれたのも、すべて戦争を終わらせるための魔法を作るために、私のスキルが必要で交換条件としてのスキルの上書き方法を探すためのもの。
それを私は勝手に勘違いして、レイの本心から来るものだと解釈してしまっただけ。
恋がこんなに苦しいものなら、最初から恋に憧れなんて抱くんじゃなかった。
「私って本当に……馬鹿だなあ」
後悔が一つ、また一つと浮かび上がっては胸を締め付ける。
憧れて勝手に焦って、思ってもみなかったスキルを獲得して……ここにやって来てレイに叶わない恋をしてしまった。
魅了無効のスキルを獲得していなかったら……そもそもエルフの血が混じってなかったら会わずにすんだのに。
「違う。それは私の本心じゃない」
深い闇の中に落ちていきそうになる気持ちを否定して、首を横に振る。
レイにあってスキルは運命を抗うものに獲得した力だって教わったもの、全てを否定するのはおかしい。
大きく揺れる振り子のように自分が保っていられないことに気づき、思わずため息を吐き零す。