スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
もう少し冷静になるまで部屋には戻らない方がいいと思って、気を紛らわせるように辺りを見渡していると建物の近くで影が動いた。
「すまない、帰ってくるのが遅くなってしまった」
突如聞こえた声に瞬時に反応し、回廊の柱へと姿を眩ませるようにしてしゃがみ込んだ。
間違いようのないその声の主に胸が痛み出す。
盗み見るように柱の影から声のする方を覗くと、そこには正装に着替えたレイの姿があった。
「俺が留守にしている間、不安だっただろう」
私に向けた時の声とは違う、包み込むような優しい声が聞こえてくる。
人気のないこの場所で一体誰と会話をしているの?
首を伸ばすようにして目を凝らしていると、吹き抜けてきた風に胸まで伸びた煌めく黄金の髪を揺らす少女がレイの元へと歩み寄っていた。
「っ……!」
まるで絵画の中から抜け出してきたかのような美しさを持つ少女に、思わず息を飲んだ。