悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
ンあああああああイケメンな微笑がた・ま・ら・ん……っ!!

アメリアは、頭を抱えて心の中で悶絶した。できることならばこの気持ちを思いっきり叫び、ついでにオタク仲間に喋りまくってしまいたい。

と、不意にミッシェルが、腰を屈めて手を差し出してきた。

「立てそうかい?」

「ハッ、はいもちろん立てますです!」

嬉しすぎて噛みまくった。感動のあまりアメリアは目も潤ませ、もうその赤薔薇色の瞳には彼女しか映してしなかった。

震える手を伸ばしたら、ほっそりとしたミッシェルの指に触れた。

「おや。緊張しているのかな? そんなに遠慮がちに添えなくてもいいんだよ?」

「だっ、だってその、あの、あまりご迷惑はかけられないですしっ」

「大丈夫だよ。私だって、女の子一人くらいなら引き上げられるんだから」

にこっと笑って、ミッシェルがアメリアの指先を握り込んでくれた。

――ああ、私の〝推し〟が、転生したこの世界では生きているんだ。

そう実感している間にも、そっと立ち上がらせてもらっていた。向かい合ってみると、少し高い位置からミッシェルが美しく見つめてくる。

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