今宵、彗星
ー模木彗(モギスイ)ー
高校は中学の頃の教訓を活かして、女子の制服にスラックスがあるところに入った。
男子の制服と同じという訳にはいかないが、ズボンを履けた私は大満足だった。

しかし、お母さんはスラックスが気に入らなかったみたいだった。
「スカートの方が可愛いけどなぁ」
と言う視線を時々飛ばしてきた。その度に私は
「あぁ、この人には言っても無駄なんだろうな」
と思った。

教室に入ると、いつもツルんでいるマミとアヤが駆け寄ってきた。

「見てみて〜!スイ!昨日彼ピとデートしてきて〜つけられちゃった!!キ、ス、マーク♡」
とこれみよがしにマミが見せる。マミには年上の彼氏がいて、優しくてなんでも好きなものを買ってくれるらしい。が、どうやら性欲は優しくないらしい。
少しマミの目が腫れていて腰を庇っているように見えた。

「やだね〜!そーゆーのは、土日にやってくださぁい!ていうか、受験生、勉強しろ」
と、アヤ。マミを諌めるような発言をするアヤだが、彼女も最近同中の後輩とおアツい展開らしい。さぁ、どこまでやったのか。

「あはは、程々にだよ、マミ。てか腰大丈夫?」
と笑いながら返事。

私は女である自分が嫌いだ。でもだからといってこの友達との時間までは嫌いになれない。

「早くスイも彼氏作りなよ〜!せっかくモテるんだから!スイのこと狙ってる男子結構いるんだよ?」
マミの言葉にそいつは初耳だ、誰なのかね?と探りを入れながらそう思った。

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