【短編】貴方だけを愛しています
「無様だな;;」



駆け付けたお父さんとたっちゃん。

抗い続けるお兄様を耳鼻咽喉科の病棟へと運び、手だけを拘束帯で縛り付けた私。

お父さんは診察室に残して来て、たっちゃんと部下の2人を前に、力尽きたお兄様を見下ろしながら手袋を嵌める。



「手を握っ……私の手じゃなくて、グーにして!」



「「「…………;;」」」



血管を探そうと、手を握るように言うと、何故か私の手を握って来る。



「……お兄様、もしかして先端恐怖症?;;」



「俺が怖いのは、唯来だけだ!;;」



「その謎な呪文は良いから」



「……へいっ……;;」



ガタイは良いわりになお兄様の顔を背けさせ、最も痛みの少ない前腕の外側から探す事に。

打ちやすさから内側から探そうと思ってたけれど、相当なビビりなお兄様には、少しでも痛みは軽減した方が良い。




「一旦、楽にして良いよ」



駆血帯を外し、手をグーパーとさせ、力を抜かせる。

少し落ち着いた所で駆血帯を絞め直し、見付けた静脈部分を押さえてアルコール消毒。




「呼吸しててよ」



呼吸してるか確認しながら、針を打ち込むと、ピクッと反応しながらも、スムーズに針は入った。
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