【短編】貴方だけを愛しています
「何でこんなに疲れた日に来るのよ……」



ーードンドン…ッ



「こんばんは!うちのシェフ特製のビーフシチューをお持ちしました!」



頭を抱えたお母さんをお父さんが慰めてると、ライトアップされてる庭へと勝手に回った咲来が、リビングの窓を叩いて、手にした鍋をアピール。



「悪いが将也は今居らん。帰ってくれないか」



「では達也さんに!」



「帰ってくれと頼んでるんだっ!!」



「――っ、」



将也お兄様の事もあり、いつもの穏やかさなどなく怒鳴ったお父さん。

お母さんがシッシとジェスチャーをすると、お手伝いさんと、物陰に居たお父さんの執事がそそくさと動き出し、咲来を捕まえた。



「身分の低いヤツらが私に触らないでっ!お義父様も達也さんもどうしてですか!?;;」



それでも抵抗し、必死に叫んでる咲来。

転がる鍋。

芝生にぶちまけられたシチュー。



「僕は君のお義父さんではない!身分も私より下だ!それなのに誰に言ってるんだ!」



「「…………」」



たっちゃんへと振り返ると、抱かれる肩。

お父さんはカーテンを閉める為、ボタンを押してこちらへと戻って来る。



「誰か電話!」



そしてスマホを取らせ、纐纈の父へと連絡を入れた。
< 42 / 88 >

この作品をシェア

pagetop