【短編】貴方だけを愛しています
咲来が来てる事を知らなかったのか、慌てる声が漏れる中、お父さんは咲来へ葉山の家のみならず、私たちへの摂取も止めなければ、今後は仕事でも付き合いを止めて、土地を取り返すと宣言した。



『ゆ、唯来はどうなります?もしかして、返品するとでも……?;;』



「…………、」



「“返品”だ?どの口が言うんだ!人の娘に、何たる侮辱だ!!唯来は何があっても返さん。取引がなくなろうと、唯来はどの道、達也の嫁にするんだ。お前たちに返して堪るか!!恥を知れっ! 身の程知らずも大概にしろっ!!」



「貴方、今のホテルの土地は取り返さなくても結構よ。くれてやりましょう。但し、あの人たちに二度と土地は渡さないで下さいね!どうして唯来ちゃんだけ人としての扱いを受けないのよ!二度とお茶会に呼ばないよう、橘さんたちにも言わないと!堪忍袋も限界よっ!!」



「……っ……、」



電話を切ったお父さんがスマホを投げ捨て、お母さんまでもが怒る。

唖然とし、他人事のように見える光景。

しかし、頬に涙が伝う。

たっちゃんに拭われ、涙に気付くと、ギュッと抱き締められる。

わかってた。

私が纐纈では道具としか見なされてないと。

しかし、“人としての扱いを受けない”と言うお母さんの一言が決定打となり、やっぱりと思う感情と、悲しみや虚しさが胸に痛みを生む。
< 43 / 88 >

この作品をシェア

pagetop