【短編】貴方だけを愛しています
「はい、大丈夫ですよ。楽にして下さいね」
お父さんの許可が降りず、病院に戻れないまま、数日が経った。
私は橘総合病院で外来の採血室の採血係と、託児所のお手伝いを交互に行き、毎日を過ごして居た。
その間にたっちゃんと入籍の手続きをしたり、名義変更などの手間はなくとも、少しずつ生活は変化していた。
私が今日、担当する最後の患者さんの採血が終了。
最終受付は17時。
それでも時間は押して、定時の17時半は過ぎて居るものの、それはみんな同じ。
終わった人から帰れる為、すれ違う人たちに挨拶をしながら採血室を出て更衣室へと行く。
着替えて外に出れば、頼もしき旦那様とお兄様が、待って居た。
「いる?」
「いらないな」
「仲良く行こうぜー!」
半分冗談。
でも、半分本気でたっちゃんにお兄様の必要性を問いながら近付くと、ただのからかいだと思ってるお兄様は、助手席へと乗り込んだ。
「入籍3日目の新妻さんよ。今日もお仕事は楽しかったか?」
「何で1月20日だったのかな……」
「俺の退院記念日だから。で?感想は?」
「子供と触れ合いたい」
「もう産んじゃえよ」
…10ヶ月も待つの?