【短編】貴方だけを愛しています
「……ハァッ……!く、苦しかった……;;」



「悪い;;」



解放され、胸を押さえながら酸素を思い切り吸い込むと、さすがに謝罪が。

いつも通りかと思えば、口が覆われて、呼吸どころではなかった。



「余裕のないたっちゃんも好きっ」



「アホ」



気が立ってたであろうたっちゃん。

でも、これで少しでも気が休まってれば良い。

背伸びして鼻にキスをすれば、小突かれて再び唇が重なる。

ただ、触れるだけのキス。



「「うわっ;;」」



「女を呼んでも良いか……」



「「ご自由に;;」」



しばらく抱き合い、家に入ると、玄関で刺激されて項垂れる人が立ち尽くして居た。

たっちゃんと手を繋いだ手を離さないように隅で靴を脱いで中へと入れば、後ろから「莉帆!助けろ!」と電話する声が聞こえる。



「おかえりなさい。将也、どうしたの?」



「玄関で莉帆ちゃん待ってる」



「何で?」



「お母さんが言った通り、私たちが刺激したようで、莉帆さんと……したいのかと;;」



「ヤダ?続いてたの??」



「「う、ん……?;;」」



「悪い事しちゃってたわね。将也にまで……」



「「…………;;」」



…誰が言えるだろうか、身体だけの関係と;;
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